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患者さんとご家族のための

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ご家族の方へ

あなたにできること

患者さんのそばにご家族がいることは、とても重要なことです。

重い病気に直面した患者さんは身内の方の存在を感じることでこの困難を乗り越えるための大きな力を得ることができます。まず第一に、一人にならないこと、一人だと思わせないことが大切です。

 ご家族の存在は不安を軽減し、生命維持装置を使用中でも、呼吸、心拍、血圧のコントロールなど特定のバイタルサインに良い影響を与えることがあります。

 ご家族のもう一つの重要な役割は、外の世界とのつながりであり、入院患者さんにとってご家族の存在はICUの外の世界との重要な接点となります。「外」で起きていることを知らせてもらったり、孫の写真や絵など、見慣れた顔や物を見ることで、日常生活に戻ることができるのです。これは、集中治療室での長期滞在を余儀なくされている人に起こりやすい重度の見当識障害(せん妄など)を起こしている人にとって、非常に有効な材料となります。

 例えば、患者さんが自分の意思を伝えるのを手伝ったり、家にあるものを持ってきたり、音楽をかけたり本を読んだり、大切な人の手や足をマッサージしたりすることでもいいかもしれません。ICUの看護師は、あなたが愛する人のために何をすべきか、何をすべきでないかを一緒に考えてくれるでしょう。

スタッフへの協力

 ご家族は、ICUスタッフが患者さんのことを知る上で重要な役割を担っています。身体的な情報(過去の入院歴、アレルギー、手術、身近な病気など)や、患者さんの生活スタイルに関する情報(食生活、座りっぱなし、仕事など)を提供していただけると助かります。

 慢性疾患を持つ患者さんの入院前の生活を把握することは、同じ生活を維持するためにも、不適切な治療で無駄な苦痛を与えないためにも重要です。

 ご家族からの情報は、ICUスタッフが患者さんを感情的な観点からどのように支援すればいいのかを理解するために必要です。

 最後に、臨床症状が改善してきたら、すぐにご家族はICUスタッフとともに患者さんのために役立つ活動を行うことができます(例えば、食事の準備、個人的な衛生管理の手伝い、新聞、音楽、ビデオ機器の持参など)。このような活動は、ICUスタッフにとっても患者さんにとっても非常に有益です。なぜなら、貴重な共有の時間であり、患者さんはご家族の影響を受けていることを実感でき、ご家族は回復過程により深く関与していることを実感できるからです。

休息の大切さ(無理せずICUスタッフに任せて)

 ICUの患者さんのそばにご家族がいることは、その人にとってもICU医療チームにとっても有益であることは間違いありません。

 しかし、ご家族が疲れていたり、心配事が多かったりすると、十分な支援ができない可能性がありますので、肉体的にも精神的にも自分の限界を自覚することが非常に重要です。

 大切な人が困難に陥ったとき、誰もが時間的にも「現実的な支援」の面でも、できるだけ近くにいたいと思うものです。 幸いなことに、集中治療室では、昼夜を問わず患者さんの様子が観察され、あらゆるニーズにそれぞれ専門の人たちが迅速に対応しています。

家族の支援は、患者さんがICUを出た後や退院して自宅で過ごすようになってからがさらに重要になります。そのため、ご家族がエネルギーのバランスを取り、患者さんの真のニーズに応じた支援を行うことが不可欠です。そうしないと、必要なときに十分なリソースが得られず、「疲弊」してしまう恐れがあります。患者さんがICUにいる間はICUスタッフに任せて無理をせず休息することも重要です。

感染症の予防

ICUに入院している人は、新たに感染症にかかるリスクがあります。これは、免疫力が低下していることと、侵襲的な手術を受けていることが原因です。そのため、病棟を出入りする際には必ず手を洗う必要があります。そうすることで、大切な人に菌を持ち込んだり、外で感染した菌を持ち込んだりすることを避けることができます。手を洗うことは、感染症の感染を防ぐための最も重要で効果的な方法です。入院している人にとって危険な細菌は、外からやってくるのではなく、すでに病院内にいて、抗生物質に対して耐性を持っていることがあります。

 特別な場合には、マスクやキャップ、使い捨てのガウンを着用していただくことがあります。自分が風邪をひいているときや、患者さんが特に危険な菌を持っているときなどに必要になることがあります。

 繰り返しますが手を洗うことは本当に重要です。下の動画では手指消毒用アルコール溶液を使った消毒方法と石鹸液を使った手の洗い方を紹介しています。

ファミリーリーダー(キーパーソン)として

多くの人が、ICUに入院している人の状態を日常的に知らせてほしいと願うのは当然のことです。

家族の代表者を選ぶことが不可欠です。医療従事者とのコミュニケーションを委任され、要望の代弁者となり、全員に情報を提供するという重要な任務を担うことになります。そうすることで、医師や看護師があなたのために割くことのできる時間を最大限に活用し、患者さんの治療からできるだけ離れないようにすることもできるでしょう。また、毎回同じ人に話しをすることで、誤解を招く可能性を抑えることができます。

 また、患者さんの病状が急に悪化したり、さらなる検査や手術が必要になった場合に、すぐに連絡を受ける人も決めておく必要があります。

 特定のケース(難しい治療法の選択、終末期の状態、臓器提供)では、決定の重荷を負うのが一人だけではないことが重要です。医療スタッフのサポートを受けながら、選択肢を検討し、近親者間で共有します。全員が貢献することで、状況がよりよく理解され、難しい決断でも受け入れられるようになります。

小さな子供たちへの支援

患者さんの近親者に小さなお子様(孫や子)が含まれている場合は、真実を伝えることが必要です。子どもはあなたの緊張感を見ているので、嘘をついてもわかってしまいますし、逆にあなたが何かを隠していると思われてしまいます。年齢に合った言葉を使い、簡単な言葉で、優しく、直接的に伝えます。詳細や深い説明は必要ありません。

 常に身近な誰かが子供達に寄り添い、何かあれば守ってくれるという安心感を与える事で、子ども達はあなたとともにこの困難に立ち向かう立場にいることを自覚してくれるでしょう。

 特別な場合には、年齢に応じた準備をすれば、子どもを病室に連れてくることも可能です。しばしば子ども達は患者さんの姿を見て安心することがあります。それは子どもたちが本当の姿を想像できず、現実よりもはるかに悪い状況を想像してしまうことがあるからかもしれません。